人事労務情報

仮眠時間は労働時間?

2019年04月10日

働き方改革関連法の内、「時間外労働の上限規制」の中小企業への施行まで、1年を切りました。

こんにちは、社労士事務所ハーベストのタカハラです。

すこし労働時間について考えてみたいと思います。

例えばビルの警備などに見られる仕事中の仮眠時間は労働時間になるのでしょうか?

普通に考えると労働時間ではなさそうですが、労働法の世界ではちょっと様子が違いそうです。

仮眠時間のような不活動時間が労働時間に当たらないと言うためには単に実労働に従事していないというだけではなく、使用者の指揮監督下にないこと、つまりは労働からの解放が保障されていることを要します。

そこで、例えば、24時間勤務でビルの警備・設備運転、保全業務を行う労働者の仮眠室での8時間の仮眠時間につき、警報が鳴った場合は設備の補修等の作業に就くことを要する点で労働からの解放がなく、使用者の指揮監督下にある労働時間と解すべきものとされています。

このような仮眠時間を完全な労働時間と取り扱うことは、確かに実際的妥当性に問題がありますが、現行労働基準法上は労働時間と休憩時間の間のグレーゾーンは認められておらず、労働からの解放がなければ「仮眠時間」であっても労働時間となります。

実際に裁判で争われた例を見ていきます。

マンションの住み込み管理人が管理人室の照明の点消灯、ゴミ置き場の扉の開閉等を命じられていた休日である日曜日・祝祭日の時間帯は休日労働ないし時間外労働に当たりますが、そしてそれら行為のほかに住人の呼び出しにより宅配物の受け渡しを行っていた平日の就業時間外および土曜日(休日)の時間帯は、時間外労働に当たるかが問題とされ、前者は否定、後者は肯定の判断がされています(大林ファシリティーズ事件=平19・10・19最二小判決)。

結局、裁判所は、不活動時間の労働時間について、使用者の指揮命令下にあると「評価」できるかどうかとして、実際的妥当性のある判断に努めるようになってきています。

ほかにガス漏れ配管工事のため寮で待機する時間を労働からの解放ありとして労働時間と認めなかった大道工業事件=平22・3・27東京地裁判決等があります。

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